無料学習支援 |
目次
1.貧困の連鎖を断つ
2.小学生の学習支援
--学校内での学習会、池袋WAKUWAKU勉強会、クローバー学習会
たけのこ学習会、聖シプリアン学習塾などなど
夏休みなどの学習会
1.貧困の連鎖を断つ
子どもの教育は常に大切な問題であり、格差社会にあってはより重要性が高まっています。家庭の所得格差が児童の成績に反映し、さらには学歴に反映し、それが次の世代にも受け継がれてしまう。貧困の連鎖が大きな問題になっているのです。
学習にはもちろん学校がもっとも重要な機関になります。しかし、報道などでも取り上げられているように、学校の先生が忙しすぎて、十分に子どもたちを個別にケアできなくなっています。そこで注目されているのが、地域で子どもの学習を手助けする無料学習支援です。
一人一人に対応
無料の学習会は、いずれも貧困家庭の子どもの教育を謳っているわけではありません。塾に行っている子どもも来ます。しかし、塾に行くことのできない子どもも少なくありません。特に、様々な理由で学習が遅れている子どもにとっては、ほぼ1対1でどのレベルからでも教えてくれる学習会は貴重な存在といえるのではないでしょうか。
いじめなどで不登校になったりした子どもは、学校に行っていなかった期間のところが分からず、それがあとあとまで響いているケースが多いですが、学習会ではそうした子どもにも丁寧に指導しています。また、通信教育を選んだ子どもは一人ではなかなか理解できない膨大な課題をこなせないでいます。定時制から全日制の高校に移りたいなどの希望を持った高校生もいます。そうした生徒を無料学習支援は、可能な限り対応してくれます。
外国籍の子どもにとっても、学習会は貴重な存在です。日本語の勉強、学校で分からないところの復習、さらには、教科書の漢字にルビを振る、教育補助の仕組みなどを教えてくれる、など様々なサポートを受けることが可能になります。
子どもの居場所としての役割
学習会は、子ども食堂などと同じように、子どもの居場所としても、大きな役割を果たしています。問題のある家庭の子どもを、区のソーシャルワーカーや社協のCSWなどが繋いでくるケースもあります。子どもの学習で困ったら、是非、以下にご紹介するような学習会にアクセスしてみて下さい。
以下では主に民間のNPOなどによる学習支援活動を紹介していきます。
とこネット(としま子ども学習支援ネットワーク)
豊島区では通称「とこネット」と呼ばれるネットワークが2015年6月に発足しました。これは豊島区、豊島区民社会福祉協議会、民間の学習支援団体などが集まって設立したもので、毎月1回会議を開いて情報交換をするほか、フォーラムの開催、共同でのボランティア募集、進学相談など幅広い活動の実績があります。
とこネットに参加するには、メンバーの賛成が必要ですが、参加すれば区に助成金を申請することが可能になります。助成金は区民ひろばなど区の施設の利用料にほぼ限定されています。
豊島区内のほとんどの無料学習支援がとこネットに参加しており、その数は12にのぼっています。中には複数の学習支援会に参加している子どももいます。
2.小学生の学習支援
学校内での学習会
豊島区の場合、ほとんどの小学校にチューター制度があり、週1回、先生方や地元のボランティアが子ども達を放課後に教える学習会が開かれているようです。通常は授業が早く終わる2年生とその他の学年に別れて、学習会が行われます。チューター制度を取り入れている学校では2人分の手当が出ますが、大学生にとっては学習会の開催時間が早いために、なかなか参加するのは難しいのが実情です。
もっとも、小学生の勉強であれば、一般家庭の主婦や高齢者でも教えることが可能です。このため、小学生を対象にした学習会には一般のボランティアや民生委員・児童委員などが多く参加しています。小学校で行われており、地域のボランティアが広く参加している学習会としては、千早小学校のあおぞら学習会、南池袋小学校のみみずく学習会があり、とこネットのメンバーになっています。どちらも地域のボランティアを広く受け入れて、地域に開かれた小学校を目指しています。ただ、小学校内の学習会は、その学校の生徒に限定されます。参加できる生徒も、希望すれば全員が加入できるか、あるいは多少制限かあるかなど、学校ごとに異なるようです。詳しくは直接学校に問い合わせをしてください。
学校内の学習会のメリット
以上が前提となりますが、やはり小学校内で行われる学習会には大きなメリットがあります。それは学校側との連携の元で、先生方に子どもに関する状況をフィードバックできることです。学習の進み具合でだけでなく、学習支援の場での様子や様々な学習上の問題などを共有していただくことができます。
小学校の場合、東京都の教育委員会が作成した、東京ベーシックドリルという教材を使って、体系的に学力の補強ができることは大きなメリットです。いろいろなやり方があると思いますが、一つの例としては学期の最初に、前の学年の算数がどれくらい定着したかをテストします。できなかったところを選んで、2年生は1年生の復習をするなど、前の学年の学習を完全にマスターするようにします。5年生までは4年生の復習ができますが、東京ベーシックドリルは4年生までの分しかありません。それ以上は別の教材を学校が提供することになります。また、全部終わってしまった場合には、今いる学年の問題をやったり、宿題中心に勉強を進めます。
ほめて伸ばす学習会
東京ベーシックドリルの算数は各項目について1~5段階に分かれており、それをマスターしたら、できなかった別の項目に移っていきます。各学期の最初にこうしたテストをするので、どこまでできるようになったかを把握しやすいといえます。これまでの経験では、これによって学力が大きく伸びる子どもが必ず出てきます。
学校のクラスでは大勢の子どもを見ますので、一人一人になかなか時間を割くことができません。その結果、学習が遅れてもその子だけを見ることが難しい場合があります。また、おかしなことに生徒は100点満点で80点を取っても、その科目が得意だとは感じないようです。20点分できなかったことを気にするのです。学習会では子どもをできるだけ褒めてやります。自信をつけさせます。それによって、やる気が成績につながる子どもが出てくるのだと思います。
ただ、何回テストをしても成績の上がらない子どもたちもいます。やる気がなく、母親から言われて嫌々来ている子どもなどは、やはり改善が見られないことがあります。学習会が必ずしも目に見える成果に直結しないことは、親御さんにも理解してもらう必要がありますし、また、ボランティアも覚悟してかかる必要があるでしょう。
地域に開かれた小学校
豊島区では児童館を廃止して、学校の中にスキップという形で吸収しました。その分、地域の方々の関与が減り、子どもにとっては自由さが失われたという声も聞きます。しかし、小学校を地域に開いていこうという流れの中で、積極的にボランティアを受け入れる学校も増えています。登下校の見守り、放課後の校庭開放の見守りなどを含めて、小学生との接点を増やしていくことは、地域の絆を強めることにつながります。特に、PTAで知り合ったお父さん、お母さん方がその後も地域活動に積極的に参加している地域では、子どもたちへの様々なサポートが行われています。学校の活動に多くの地域の方が関わっていくことは、町作りにも効果があると思われます。
学校以外での学習会
豊島区で活動している学習会の多くは、小学生から受け入れをしています。古くから学習支援を手がけている2つの学習会、「としま 子どもWAKUWAKUネットワーク」の運営するWAKUWAKU勉強会、「子どもサポーターズとしま」が運営しているクローバー学習会はいずれも約半分が小学生で成り立っています。
1.池袋WAKUWAKU勉強会
学習としてはなんと言っても、まず宿題をやることが求められます。小学生の場合には、それ以上の学習をやらせることは難しく、公園やホールなどで遊ぶのが通例です。子どもの居場所としての役割も重要で、特に、外国籍の小学生などが、いきいきと遊んでいる様子が見られます。
勉強が嫌いな子どもに対しても、大学生ボランティアがついて、根気よく勉強をするように励まします。それによって次第に勉強への意欲が湧くようになっていきます。全体に家庭的な雰囲気で、小さい子たちは勉強が終わると、同じグループがやっている子ども食堂に行ったりします。また、学生が主体的に企画するクリスマス会ほかのイベントも多いほか、茜の里が提供するパンやお菓子など、食べ物を楽しみにしてくる生徒も少なくありません。
WAKUWAKUは様々な活動を展開しており、支援する企業や団体も少なくありません。そうした強い絆に支えられて、夏休みの長野県大鹿村での合宿やクリスマス会、子どもたちに対する多面的な支援をしています。
開催場所:区民ひろば池袋対象: 小学生から高校生
開催日時:毎週月曜日午後3時~7時(変更がありました)
(ボランティアの参加時間は自由です。終了後反省会がありますが、出席は任意です)。
主催: としま子どもWAKUWAKUネットワーク
備考: ①夏休みの飯能河原でのバーベキューや夏の長野県での合宿など多彩な活動が行われます。
②高校などへの進学者にWAKUWAKU給付金の制度があります。
ホームページ:https://toshimawakuwaku.com/
2.クローバー学習会
クローバー学習会は弁護士の方々が始めた学習会で、2010年から活動している豊島区では老舗の学習会です。WAKUWAKU勉強会とはもともと姉妹団体であり、共通するボランティアや共催するイベントもあります。夏には共催で毎年、飯能河原でのバーベキューが開催され、60人近い参加者が集います。
クローバーについては中学生の学習支援で詳しく触れますが、小学生も多く参加しています。兄弟で来る例が多いのも特徴かもしれません。学習の遅れている子どもに対しても、ボランティアが根気よく教えていくので、大きな改善が見られた例もあります。
水曜クローバーが開かれている上池袋第一まちづくりセンターは2階に大きな和室があり、勉強に飽きた子どもたちは、ここでゲームをしたりして遊んでいます。その意味では居場所としての役目を果たしているので、小学生でも父兄の方が迎えに来てくれる場合などには、7時までいることを認めているケースが多くなっています。
クローバーでも大学生、大学院生のボランティアが果たす役割が大きくなっています。やはり、お兄さん、お姉さん的な感覚で接することができますので、なじみやすく、一緒に遊ぶことができる点は大きなメリットです。また、大学生自身が様々なイベントを中心になって企画し、実施するなど、運営面でも主体的に活動しています。クローバーではホームページの運営も大学生が担っています。
水、木 2カ所で開催
クローバー朋有は、同じクローバーが主催する学習会ですが、曜日が木曜日、場所が区民ひろば東池袋となります。こちらも小学生が少なくありません。水曜クローバー同様、外国籍の子供も通ってきます。
クローバーでも茜の里からパンをいただいており、お腹をすかせた生徒たちはパンを楽しみにしています。
開催場所:上池袋第一まちづくりセンター
豊島区上池袋2-26-7
対象 :小学生から高校生
開催日時:毎週水曜日午後4時半~7時
(ボランティアの参加時間は自由です。終了後反省会がありますが、出席は
任意です)。
主催 :任意団体 こどもサポーターズとしま
連絡先 :080-3170-6436 担当:新国
備考 :①WAKUWAKU学習会と共催で、夏に飯能河原でのバーベキューを行う
ほか、高校受験生と合格祈願に行くなど多彩な催しがあります。
②毎年10月半ば頃から、毎週月、金に中3生を対象にしたクローバー
プラスを実施しています。
ホームページ:http://clovertoshima.wixsite.com/toshimaku-clover
開催場所:区民ひろば朋有 東池袋第二区民集会室
豊島区東池袋2-38-10
開催日時:毎週木曜日午後3時半~7時
他は水曜クローバーと共通です。
3.たけのこ学習会
学校以外で開かれている小学生向けの学習会としては、区民ひろば高松で開催されている竹の子学習会があります。毎週水曜日の午後5時から、区民ひろば高松の区民集会室を利用して、勉強を教えています。
ここの特徴は地域密着型で、近隣の小学生だけでなく、幼稚園生も居場所としていることです。出席したときにはシールを貼ってもらい、全部集まると表彰するなど、子どものインセンティブを高める努力を一生懸命にしている学習会です。毎回10~15人くらいの参加者が集まるそうですが、年齢層が低いのにもかかわらず、最初に宿題や基本的な勉強をきちんとさせてくれます。
小学校とも連携を取りながら、地域の婦人を中心に熱心に勉強を教えています。その分、中学生は対象となっていません。また、場所が池袋や他の駅から離れているので、学生ボランティアの参加が少ないという悩みがあります。しかし遅い時間から始まるので、大学生の方には参加しやすい一面もあります。
開催場所:区民ひろば高松 区民集会室
豊島区高松2-25-9
対象 :幼稚園生から小学生
開催日時:毎週火曜日 午後5時~7時
主催 :竹の子クラブ
問い合わせ先:090-8725-1030(ショートメールを希望)担当:酒井
4.のびのび日和
みらい館大明にはブックカフェがあります。ここにはたくさんの本や漫画があり、自由に飲み食いができ、おしゃべりもできるという場所です。ここで主に月2回、原則日曜日を利用してのびのび日和が開催されます。ここでは大学生のボランティアが学校の勉強のサポートをしてくれます。ドリルなども提供してくれます。ここのユニークなのは勉強だけでなく、もと小学校の校庭だった庭を利用して、畑を使ったりした自由研究などを積極的に行っていることです。体育館で紙飛行機を作って遊んだりもするそうです。
開催場所:みらい館大明 1階 ブックカフェ
豊島区池袋3-30-8
対象: 主に小学生、中高生も可
開催日時:原則として毎月第2,第4日曜日
午前9時30分~15時20分 (昼食休憩あり)
問い合わせ先:みらい館大明 03-3986-7186
080-5141-3953 担当:幅野
ホームページ:http://taimeibookcafe.net/ (ブックカフェ)
5.聖シプリアン学習塾
谷端側沿いの公園通りにある教会で、毎月第2、第4水曜日に勉強会を開いています。小中学生が中心ですが、英語ならば高校生でも対応可能だそうです。外国籍の子どもも積極的に受け入れています。教えるのは社会人と大学生のボランティアで、継続的に来てくれる学生ボランティアを必要としています。
開催日時:毎月第2、第4水曜日 午後5時~7時
開催場所:池袋聖公会 豊島区西池袋5-24-5
対象:小中学生 高校生(英語のみ)
問い合わせ先:03-3986-4709
ホームページ:http://mejiroseikokai.com/mejiro/?page_id=74
夏休みなどの学習会
経済的に余裕のない家庭の子どもたち、親が忙しくて休みが取れない家庭などの子どもたちの場合、夏休みなどに旅行やキャンプに行くなどの様々な経験ができないケースがあります。長期の休みの間の思い出作り、あるいは夏休みの宿題、あるいは社会見学などの機会を与えてくれる催しも大事になります。
1.にじいろ学習会
社会福祉協議会が8月と12月に実施している期間限定の学習会です。夏休みは通常一週間、冬休みは2日間程度実施しています。場所は池袋本町小学校ということで、西部圏域からは少し遠いです。また、本町小学校のお子さんがほとんどなので、他の小学校からは行きにくいようです。ここでは午前中の学習会の他、日を決めて社会科見学に連れて行ったり、調理学習をしたりします。豊島区民社会福祉協議会に問い合わせをしてください。
2.池袋こども会
池袋こども会は学生のボランティア団体が、毎年、キャンプを実施しています。池袋こども会は大学生が運営している組織で、通常は毎週日曜日に、南池袋小学校の校庭で子どもたちと遊んだり、毎月ハイキングや花火会などの活動をしたりしています。これらの学生たちが、夏休みに全精力を上げて取り組むのがキャンプになります。すべて学生たちの手で運営されるキャンプで、70人規模の学生が、食事から見守りまで担当します。参加する子どもは2017年度は20人ほどだったそうです。キャンプは基本有料になります。
また、夏休みの自由研究をサポートする活動もしているそうです。直接、子ども会にメールでお問い合わせ下さい。
(メールアドレス:ikebukurokodomokai_mail@yahoo.co.jp)
2018年 池袋子ども会 夏季合同キャンプのお知らせ
3.聖シプリアン学習塾
目白駅近くの目白聖公会では、毎週日曜日に無料学習支援を開いています。この地区から参加するのは大変かもしれませんが、夏休みにも何日間か特別に学習支援+居場所となる日をもうけています。
2018年もお盆の時期に合わせて、8月13日(月)~17日(金)に夏休みの特別プログラムを用意しています。午後3時から夜7時までの間、学習、食事、遊びとバランス良く、半日を過ごすことができます。完全予約制ですが、費用はかかりません。
開催場所: 目白聖公会 〒161-0033 東京都新宿区下落合3-19-4
電話:03-3951-5010
ホームページ: http://www.mejiroseikoukai .com/
申し込み・連絡先 田中茂朗 shigeo_tanaka@optimum-c.com
2018年 夏休み特別プログラムのおしらせ
4.大正大学
大正大学も毎年夏に10日間ほど午前9時半から午後3時半まで学習会を開いています。午前中は勉強、午後は遊びと丸一日中ここで過ごすことができます。図書館なども開放されて、ここで受験勉強をする高校生などもいるとのことです。ただ、位置的には西部圏域からは遠いので、保護者の送り迎えなどが必要にはなりそうです。
お問い合わせは、大学ではなく、のびのび日和を主催している幅野さん(電話:080-5141-3953)にお願いします。(今年の夏季学習会はすでに終了しています)。ちなみに、大正大学内では9月以降も、原則毎週土曜日に勉強会を開催しております。お問い合わせは同じく幅野さんにお願いします。
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